Beauty総研

アカデミー

TOP > インタビュー トップインタビュー >  > Vol.43 株式会社ダブ/株式会社ビタミンズ 代表 八木岡 聡さん

ヘアサロン領域

2014.08.26

表参道と代官山に2店舗を展開するDaBの代表、八木岡氏。数々のコンテストの審査委員長を務め、業界のデザインを牽引する存在である八木岡氏に、これからのマーケット、これからのブランディングについて伺いました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PROFILE

八木岡 聡(やぎおか さとし)

表参道・代官山にヘアサロン「DaB」を展開。 高いデザイン性とテクニックを誇るヘアデザイナー集団の代表を務める。インダストリアルデザイナーとしても、照明器具や家具、美容器具関連のプランニングやデザイン、さらに化粧品の開発及びディレクション等幅広く手がける。
1995年、株式会社ビタミンズ設立/DaB office/DaB daikanyama開設、1997年DaB MIX開設。1999年、DaB omotesando開設、2003年、株式会社ダブ設立、サロンマネージメントをビタミンズより移管。2011年DaB MIXを拡張リニューアルオープン
2000年、GOOD DESIGN賞受賞、2002年、作品展PRIMITIVE DESIGN開催
株式会社ダブ webサイト → http://www.dab.co.jp/

vol43-IMG_2754

|第2章|クラスとジャンルを意識したブランディング

野嶋 とても興味深いです。八木岡さんが考えていらっしゃるクラスとジャンルについて、もう少し詳しく聞かせていただけますか。

s-vol43_chart

八木岡 僕は、クラスは、一番上にグレードサロン、一番下にディスカウントサロンがあると考えます。その間に、リーズナブルなサロンがあって、パーソナルサロンがあって、デザイナーズサロンがあると。

野嶋 クラスの違いは、料金と比例するイメージですか? 

八木岡 料金設定だったり、規模だったり、サービスだったり、経営のあり方だったりの差でしょうね。

ディスカウントサロンというのはイメージしやすいと思います。パーソナルサロンというのは、ビストロみたいなものでしょうか。オーナーシェフ型のお店。これからますます増えていくでしょうね。デザイナーズサロンというのは、ある程度の規模とスケール感が必要だと思っています。業界のクリエイティビティを牽引していくためには、やはりそれなりのスケールが必要です。グレードサロンというのはどの国にもあるのですが、最高級の技術やサービスを受けたいという層に向けたサロン。

少し話がそれますが、現在、理容業界が厳しくなってきている理由は、この「クラス」の多様性を打ち出せなかったことが大きいと思います。今、理容学校を卒業する学生って、どれくらいですか?

野嶋 数百人ですね。確かに、理容業界には、一部をのぞいてこの「クラス」がほとんど生まれなかったと言えますね。

八木岡 そうなんですよね。だから、美容業界は、もっとしっかり区分けして、それに特化したサロンづくりを業界全体で作って行く必要があると思います。

野嶋 ジャンルに関してはどうでしょうか。僕は、仕事柄、クラスの経営のあり方の部分はイメージしやすいのですが、ジャンルというのは?

八木岡 ジャンルの勉強が必要になってきているのは、マーケットが細分化したことによって、「技術を軸にしていれば、どのジャンルもやれる」という大前提が崩れているからだと思います。
美容師さんは今まで同様に技術を軸に考える、でもお客さまは「自分」を軸に考えるようになった。「自分らしさ」「自分へのフィット観」という考え方です。その結果「この人は私には合わない」というお客さまが増えた。以前よりも、当たり外れが出やすくなったんですよね。

野嶋 顧客の要望が技術だけじゃなくなったために、満足度をあげることが難しくなったということですね。

八木岡 僕、美容業界のメニューって、他のサービス業のメニューに比べてすごく特殊だと思っているんです。

野嶋 というのは?

八木岡 美容業界のメニューって、商品メニューじゃなくて、技術メニューなんですよね。つまり、料理で言うと、「炒める技術料金がいくら」、「茹でる技術料金がいくら」、「蒸す技術料金がいくら」、という設定なんです。炒めた結果、できる料理が中華炒めなのか、イタリアンのソテーなのかというメニュー設定ではないんですよね。

野嶋 確かに。他の業種では仕上がった商品に対しての値付けですものね。確かに、自分が何料理を作るつもりなのかという視点は大事だし、お客さまにも今それが求められていると感じます。そのギャップをうめるためにも、ジャンルに特化した勉強が必要だということですね。

八木岡 そのとおりです。同じことは、日常的なサロンワークと、コンテストでの評価の違いにもいえると思います。
美容の世界は、日本のマーケットの成長とともに変化してきました。80年代を軸に大きく変わってきています。それ以前はデザイン以上にわかりやすいパーマ、カット、セットなどの技術や行為がメニューとして、マーケットで成立していました。それが今の美容室メニューをつくっていると思います。そして80年代欧米に影響されたカルチャーがファッションとしてブームやトレンドを生み、若い世代を中心に個性として受け入れられた。
90年代にはアニメ、ギャル、カワイイなどの「日本独自の文化」をつくり、今に至っています。

野嶋 美容はカルチャーやトレンドと密接に連携していますよね。

八木岡 コンテストも、こういった時代背景の中で進化していきます。80年代以前はセットのコンテストが主流で、70年代後半から今のカットコンテストが主催されています。まだ当時はカットスタイルのジャンル化などはマーケットになかったために、普段のサロンワークはオールジャンルすべてこなしていくという仕事、コンテストでは普通のサロンワークではしない、できないような特別なヘアをつくる。それができる人が評価され、コンテストで賞をとりました。

野嶋 日常のサロンワークとコンテストが、完全に分けて評価されてきたわけですね。

八木岡 そのとおりです。その時代からの評価基準が、今でも続いている傾向にあります。そして90年代以降からのマーケットの変化もあり、もっとマーケット寄りに評価しようという努力は、様々なコンテストで行われていますし、その動きはあります。しかし美容師の特別な技術、ヘアデザインは新鮮に映ります。更に職人的、技術者的な視点から生まれる造形的なデザインとマーケットに合うデザインは一致することが少なく、今に至っています。
造形的なヘアデザインから創造の幅や新しいカットテクニック、テクスチャー、ヘアカラーなど個の技術の成長をも生む事ができますし、学ぶことが多いはずです。またそれに向かう情熱や高いモチベーションは、日常の仕事に元気を与えます。だからこそ今後は、コンテストで評価されるデザインはもっとリアル感があり、魅力のある「人」のためのヘアであるべきだと思うのです。その事がきっとこれからの時代に必要なコンテストの姿になると信じています。

●vol43-IMG_2777

1 2 3 4 5

関連記事

関連記事はありません。