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TOP > インタビュー トップインタビュー >  > Vol.46  UMiTOS 代表 砂原 由弥さん

ヘアサロン領域

2014.10.20

都内有名サロンでの勤務を経て、千葉の房総半島に「海と砂原美容室」をオープン。
当時、業界誌、ファッション誌、映画、CM……と撮影に引っ張りだこだった砂原さんが、千葉にお店を構えたという話は、美容業界に大きなインパクトを与えました。
それから6年。現在は、千葉と青山の「UMiTOS」の2店舗を経営しています。
今までの美容業界での育成方法とは一線を画すスタッフ教育と、相変わらずの斬新なデザインで、再び注目を集めている砂原さん。今回は、その経営について、お話を聞きました。

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PROFILE

砂原 由弥(すなはら よしみ)

美容師歴22年。都内有名美容室で働き、数多くの芸能人、アーティストを顧客に持つ。出産をきっかけにヘアメイクの仕事もしつつ、千葉の南房総でのサロン経営をスタート。 顧客たちに請われ、2011年、青山にもサロンをオープン。 UMiTOS webサイト → http://www.umitos.com/

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|第4章|目に見えないものを大事にする教育

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野嶋 スタッフ教育で大事にされているのは、言葉にするとどんなことですか?

砂原 目に見えないものを一番大事にしたいということをいつも伝えています。目に見えるものには限界がある。目に見えないものを一番大事にしたいと。その目に見えない「何か」を決めるのは、本人たち。何に絞るかは、本人たちに決めてもらっています。

野嶋 採用のときは、どんなところを見ているのですか?

砂原 何がしたいのかを、入るときにしっかり考えているかどうかでしょうか。うちは、雇用の考え方が「プロデュース」なんです。うちのスタッフが自分の力を伸ばすことができて成果を出せているのだとすれば、一人一人のプロデュースに専念しているからだと思いますし、本人もそのプロデュースを納得しているからだと思います。

野嶋 それはやはり、タレントさんをプロデュースしてきた経験のなせる技なんでしょうね。

砂原 そうかもしれません。自分のことをしっかり見つめてくれる相手がいて、セルフプロデュースするのではなく、サロン全体でプロデュースされ、しかも高い成長を期待されるから、辞めないのかもしれないですね。もちろん、どのサロンもちゃんとスタッフのことは見ていると思います。けれども、もっと頭脳的にサポートしていくことを意識しています。とにかく、良いところを徹底して伸ばしていきたいですね。振り切ることをしています。ダメなところは、社会がちゃんとバッシングしてくれますから。

野嶋 具体的には、どんな指導をされているんですか。

砂原 例えば、リスクヘッジノートというのがあるんです。これは、博報堂さんで、「前日の失敗は朝イチで全員にパソコンで共有する」という話を聞いた所からヒントを得て作ったものなのですが。

野嶋 すごいですね。これ、自作ですか。「このノートは若さゆえの過ち、冷静だからこその無知、大人だけど子ども。自分への甘さ、自分への言い訳、過去のいくつもの失敗を二度と繰り返さない、そんな前向き社員のためにある。このUMiTOSと海と砂で起きた数々の難事件を解決の為にやって来た。いつも事件は現場で起きている、早速向かうとしよう」。楽しい感じのノートですね。これ、砂原さんが考えられたのですか。

砂原 そうです。ここに、スタッフがした失敗を書き出していくんですね。例えばこれなんかどうでしょうか。
子どものいないスタッフが赤ちゃんを連れて来たお客さんに対して、親切にしようとして、赤ちゃんに高い高いをしたんです。けれども、今の教育では高い高いをすると脳に影響が出る可能性があると注意事項になっているんですよね。そのことをお客さまから注意されたというケースです。

野嶋 これは実際あった例なんですか?

砂原 そうです。それで、やっちゃった子が主体で、このノートを作るんですよ。タイトルなどもクリエイティブに考えて、と。
いろいろありますよ。例えば撮影用の衣装で買ってきたキャミソールを、うっかり自分が持っていっちゃうとか。カメラマンさんにいただいた撮影小物を報告しなかったりとか。そのたびに「こらっ、それはゲンコツだぞ!でも、失敗したことは仕方がないから、次を考えよう。そのためにも、このノート、めちゃくちゃ面白く作ってみんなに共有しておしまいにしよう」。そういう感じです。

野嶋 明るいサロンですね。このリスクヘッジノートのトーンからも、あの、セミナーのオープニングで流れた映像と何か通じるものを感じます。

砂原 明るいですよ。みんないろいろ失敗しますけれど、それは現象ですからね。人格の問題ではないですから。

野嶋 「それはゲンコツだぞ」って言い方もいいですよね。

砂原 20代の私だったら言わなかった言葉かもしれないですね。地元のエリートな同級生には「どうして『人』みたいな、投資しても投資分返ってこないかもしれないものに時間をかけるの?」なんて聞かれたりしますけれども、やっぱり自分自身がお勉強させていただいてきたし、下の子からもお勉強させてもらっていますからね。だから、今は見返りを求めずに投資する時期なのだと、教育に腹をくくっているわけです。そうすると「ゲンコツだぞ」っていう言葉も、自然と出てくるんですよね。実際にはゲンコツはしたことはないですが。

野嶋 無関心だと、絶対に出てこない言葉ですもんね。ちなみに、教育や経営の面と、クリエイティブな部分って、また脳を使う部分が違うように感じるのですが、砂原さんの中で、ヘアメイクの仕事と経営者の仕事は、どこでスイッチが切り替わるんですか? それとも延長線上にあるのでしょうか。

砂原 うーん、確かに、仕事の中に占める教育の割合は増えているんですけれど、不思議なことに、そうなってから、ヘアメイクのオファーも増えているんですよね。きっとどこかで繋がっているというか、波紋があるのかもしれないですね。

野嶋 今日はとても面白いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

砂原 こちらこそ。お役に立てる話ができたか気になりますが、大丈夫だったでしょうか。ありがとうございました。
(写真/梅沢香織 文/佐藤友美)

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